定年退職後のキャリア：デスクワーク経験を活かして無理なく働く方法と情報源
定年退職後のキャリア：デスクワーク経験を活かして無理なく働く方法と情報源
定年退職が近づくにつれて、あるいは定年退職を迎えてから、「これまでの経験を活かして、社会との関わりを持ち続けたい」「体力的な負担の少ない形で、無理なく働きたい」とお考えの方も多いのではないでしょうか。特に、長年デスクワークを中心に専門的な業務に携わってこられた方にとっては、培ってきた知識やスキルをどのように活かせるか、新たなキャリアへの一歩をどのように踏み出せば良いか、迷うこともあるかと存じます。
「キャリア再設計ラボ」では、こうしたシニア世代の皆様が、ご自身の経験やスキルを見つめ直し、多様な選択肢の中から最適なセカンドキャリアを見つけるためのお手伝いをしたいと考えています。この記事では、長年のデスクワーク経験や専門知識を活かせる無理のない働き方と、そのための情報収集の方法について詳しくご説明します。
これまでのデスクワーク経験・専門知識を見つめ直す
セカンドキャリアを考える第一歩は、ご自身の「経験の棚卸し」です。デスクワークで培った経験は、書類作成、データ分析、企画立案、顧客対応、マネジメントなど多岐にわたります。特定の分野における専門知識はもちろんのこと、日々の業務で当たり前のように行っていたことの中に、実は多くの人に役立つスキルや経験が隠されています。
具体的なスキルの洗い出し例
- 事務・管理スキル: 文書作成、データ入力・集計、スケジュール管理、経費処理、電話・メール対応など
- 専門スキル: 経理、法務、人事、設計、開発、研究、品質管理、営業企画、市場調査など、特定の職種や業界で培った専門知識や実務経験
- ITスキル: Word、Excel、PowerPointといった基本的なPCスキル、特定の業務システムの使用経験、インターネットでの情報収集能力など
- コミュニケーションスキル: 社内外との折衝、後輩指導、顧客への説明、チームでの協力など
- 問題解決スキル: 課題発見能力、分析力、改善提案力、リスク管理など
こうしたスキルを改めて書き出してみることで、ご自身が持つ「強み」を具体的に把握することができます。
デスクワーク経験を活かせる無理のない仕事の選択肢
体力的な負担を抑えつつ、これまでの経験を活かせる仕事にはどのようなものがあるでしょうか。いくつかの例をご紹介します。
1. 経験者向けの事務・管理業務
企業の総務、経理、人事、あるいは部署のアシスタント業務などです。フルタイムではなく、週数日や午前中のみといったパートタイムやアルバイトの募集も増えています。長年の実務経験は即戦力として歓迎されることが多く、体力的な負担は比較的少ない働き方と言えます。
2. 専門知識を活かす仕事
特定の分野での深い専門知識や経験は、企業や団体の顧問、アドバイザー、コンサルタント補佐といった形で活かすことができます。専門学校やカルチャースクールなどで、ご自身の専門分野について教える講師や講師アシスタントという道もあります。また、技術分野であれば、特許申請のサポートや技術文献の調査といった業務も考えられます。
3. IT関連のサポート・検証業務
高度なプログラミングなどは難しくても、基本的なPC操作や特定のソフトウェアの使用経験があれば、ITサポートの補助や、新しいシステム・ソフトウェアの動作検証（テスター）といった業務に携われる可能性もあります。製品マニュアルの作成補助や、顧客からの問い合わせ対応（電話やメール）なども、コミュニケーションスキルとPCスキルを活かせる仕事です。
4. 教育・指導・相談業務
これまでの職業経験や人生経験を活かして、キャリア相談員、ライフプランアドバイザー、あるいは地域の高齢者向け講座の講師などとして活動する選択肢です。NPO法人や社会福祉協議会などが主催する活動に関わることも考えられます。
5. 在宅ワーク・リモートワーク
インターネット環境とPCがあれば、自宅でできる仕事も増えています。データ入力、文字起こし、オンラインでの事務アシスタント、ウェブサイトの記事作成（ライティング）、オンライン講師などです。体力的な移動の負担がなく、ご自身のペースで働ける点が大きなメリットです。ただし、情報の見極めや契約内容の確認は慎重に行う必要があります。
仕事や情報源の探し方
ITスキルに自信がない、あるいは対面で相談したいという方もいらっしゃるでしょう。セカンドキャリアを探すための具体的な情報源や相談先は多様にあります。
1. ハローワーク
お住まいの地域にあるハローワークは、最も基本的な情報源の一つです。求人情報の提供はもちろん、専門の相談員による職業相談を受けることができます。シニア向けの専門窓口を設けているハローワークもあり、年齢や体力、経験に合わせた仕事探しについて、きめ細やかなアドバイスを受けることが可能です。インターネットでの求人検索もできますが、窓口で直接相談しながら仕事を探すことも有効です。
2. シルバー人材センター
地域の活性化や高齢者の生きがい作りを目的とした公益法人です。比較的短時間・短期間の仕事（軽作業、事務補助、専門知識を活かせる仕事など）が多く、地域のニーズに合った仕事が見つかりやすいのが特徴です。会員として登録し、仕事の依頼があれば、センターを通じて働く形になります。体力に自信がない方や、自分のペースで働きたい方にとって、選択肢の一つとなるでしょう。
3. 民間の求人情報サービス
インターネット上には多くの求人サイトがありますが、中にはシニア向けの求人特集を組んでいたり、年齢で絞り込んで検索できたりするサイトもあります。また、特定の業界や職種に特化した専門性の高い求人サイトもあります。インターネット検索に抵抗がある場合は、ご家族や詳しい方に手伝ってもらうことも検討してみてください。「シニア 事務 求人」「定年後 専門職 募集」といったキーワードで検索すると、関連情報が見つかりやすくなります。
4. 地域の相談窓口・NPO
自治体が高齢者の就労や社会参加に関する相談窓口を設けている場合があります。また、地域に根差したNPO法人や市民活動団体が、シニアの経験を活かせる場を提供していたり、仕事探しに関する相談を受け付けていたりすることもあります。広報誌や自治体のウェブサイトで情報を集めたり、直接問い合わせてみたりするのも良い方法です。
5. OB/OGネットワーク・これまでの人脈
以前勤めていた会社のOB/OG会や、仕事を通じて築いた人脈から、セカンドキャリアにつながる情報が得られることもあります。意外なところで、ご自身の経験を必要としている人がいるかもしれません。
新しいスキル習得について
「新しい分野にも挑戦したいけれど、難しそう…」とためらいがあるかもしれません。しかし、無理のない範囲で新しいスキルを学ぶことも、セカンドキャリアの可能性を広げます。自治体が主催するパソコン講座、地域の公民館での趣味講座、オンラインではなく通学できる形式の職業訓練など、シニア向けの学びの機会も増えています。焦らず、興味のある分野から少しずつ始めてみるのはいかがでしょうか。
まとめ
定年退職後のセカンドキャリアは、これまでの経験を活かし、社会との繋がりを持ちながら、ご自身のペースで働くことができる貴重な機会です。特にデスクワーク中心の経験は、事務、専門知識を活かせる仕事、IT関連、教育、在宅ワークなど、多様な形で役立てることができます。
大切なのは、「無理なく」続けられる仕事を見つけることです。体力や健康状態、年金受給との兼ね合いなども考慮しながら、ご自身にとって最適な働き方を考えてみましょう。
情報収集の方法も、ハローワークやシルバー人材センターといった対面で相談できる場所から、インターネット上の情報まで様々です。ご自身が利用しやすい方法を選び、まずは情報収集から始めてみてください。
「キャリア再設計ラボ」では、これからも皆様のセカンドキャリア設計に役立つ情報を提供してまいります。ご自身の経験やスキルを大切に、実りあるセカンドキャリアを築んでいただければ幸いです。