キャリア再設計ラボ

長年の実務経験から生まれる「見えないスキル」:定年後の社会参加・仕事で無理なく活かすヒントと相談先

Tags: セカンドキャリア, シニア, 経験活用, 見えないスキル, 社会参加

定年退職という人生の大きな節目を迎え、これからのキャリアについて考える方も多いことでしょう。長年の実務経験は、かけがえのない財産です。しかし、その経験をどのように活かせば良いのか、体力や時間的な制約の中で無理なく働ける場所はあるのか、新しい環境でうまくやっていけるのかなど、様々な不安を感じることもあるかもしれません。

特に、技術職など特定の分野で長く働いてこられた方の中には、「自分の専門性は今の時代に通用するのだろうか」「ITスキルに自信がないので、仕事探しも難しいのでは」といった懸念をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

本記事では、長年の経験から培われた、いわゆる「見えないスキル」に焦点を当てます。それは、特定の職務内容だけではなく、どんな場面でも活かすことができる、汎用的で価値のある能力です。この「見えないスキル」を見つけ出し、定年後の社会参加や仕事に無理なく活かすための具体的なヒントと、ITが苦手な方でも安心して相談できる窓口についてご紹介します。

あなたが持つ「見えないスキル」とは

長年の実務経験を通じて、あなたは知らず知らずのうちに、履歴書や職務経歴書の「職務内容」欄には書きにくい、しかし非常に価値の高いスキルを身につけています。これらは特定の技術や知識そのものよりも、仕事を進める上で不可欠な「進め方」や「考え方」、「人との関わり方」に関わる能力であり、「見えないスキル」あるいは「ポータブルスキル」と呼ばれることもあります。

例えば、以下のようなものが挙げられます。

これらのスキルは、たとえ職種が変わっても、あるいは仕事以外の地域活動やボランティア活動においても、大いに活かすことができます。

なぜ「見えないスキル」が定年後のキャリアで重要なのか

特定の技術や知識は、時代の変化と共に古くなることもあります。しかし、「見えないスキル」は、どのような時代や環境でも応用できる汎用性の高い能力です。定年後のセカンドキャリアにおいて、体力や時間的な制約がある中で無理なく、そして長く活躍するためには、この「見えないスキル」を意識的に活用することが非常に重要になります。

新しい分野に挑戦する場合でも、過去の経験で培った問題解決能力や計画性があれば、未知の課題にも落ち着いて取り組むことができます。また、地域活動やボランティアでは、多様な背景を持つ人々との関わりが生まれますが、コミュニケーション能力や協調性があれば、円滑な人間関係を築き、貢献の実感を得やすくなります。

あなたの「見えないスキル」を見つける方法

自分がどのような「見えないスキル」を持っているのか、改めて考えてみることから始めましょう。

  1. 過去の経験を具体的に振り返る:

    • 仕事で特に印象に残っている出来事は何でしょうか。成功体験だけでなく、失敗や困難を乗り越えた経験も重要です。
    • 困難な状況で、あなたはどのように考え、どのように行動しましたか。
    • チームやプロジェクトの中で、あなたはどのような役割を担い、どのように貢献しましたか。
    • 後輩や同僚から、どのようなことで頼られることが多かったですか。 これらの具体的なエピソードの中に、あなたの「見えないスキル」が隠れています。
  2. 「なぜ」を深掘りする:

    • 成功した時に、「なぜうまくいったのだろう?」と考えてみてください。そこに、あなたの強みであるスキルが見えてくることがあります。
    • 困難を乗り越えた時に、「どのようにして乗り越えられたのだろう?」と振り返ることも有効です。
  3. 信頼できる人に聞いてみる:

    • 家族や友人、元同僚など、あなたのことをよく知っている人に、あなたの強みや「どんな時に頼りになるか」を聞いてみるのも良い方法です。自分では気づいていない強みを指摘してもらえることがあります。
  4. セカンドキャリア相談窓口を活用する:

    • 後述するハローワークやシルバー人材センターなどの相談員に、これまでの経験を話してみましょう。専門家は、あなたの経験の中に隠された「見えないスキル」を引き出すお手伝いをしてくれます。自分一人で考えるよりも、客観的な視点を得られるため、非常に効果的です。

「見つけたスキル」を社会参加・仕事に活かす具体例(無理なく)

あなたが見つけた「見えないスキル」は、様々な形で活かすことができます。ITスキルに不安がある方でも、無理なく始められる選択肢は数多く存在します。

重要なのは、必ずしも過去と同じ職種に就くことだけが選択肢ではないということです。培ってきた「見えないスキル」は、多様な場所で価値を発揮します。

どこに相談すれば良い? ITが苦手でも安心の情報源

セカンドキャリアに関する情報は多岐にわたりますが、ITツールを使った情報収集に自信がない、あるいは対面でじっくり相談したい、という方もいらっしゃるでしょう。そのような方におすすめの情報源と相談先をご紹介します。

これらの相談窓口では、専門家があなたの話を聞き、これまでの経験やスキルをどのように活かせるか、一緒に考えてくれます。ITスキルを心配する必要はありません。まずは、お住まいの地域にある窓口に電話で問い合わせてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

長年の実務経験を通じてあなたが培ってきた「見えないスキル」は、定年後の人生を豊かにするための貴重な財産です。特定の専門知識だけでなく、問題解決能力、計画性、コミュニケーション能力といった汎用的なスキルは、仕事だけでなく、地域活動やボランティア活動など、様々な場面で大いに活かすことができます。

ご自身の「見えないスキル」を改めて見つめ直し、それを活かせる場所を探してみましょう。ITスキルに不安があっても、ハローワークやシルバー人材センターなど、対面で相談できる公的な窓口が数多くあります。これらの窓口で、あなたの経験やスキルについて具体的に話すことで、新たな一歩を踏み出すための具体的なヒントやサポートを得られるでしょう。

焦る必要はありません。あなたのペースで、無理なく、これまでの経験を活かせるセカンドキャリアや社会との繋がりを見つけていきましょう。